With LARSの願い

LARS(ラース)という言葉を聞いたことがありますか?
LARSは、Low Anterior Resection Syndromeの略です。日本語では「低位前方切除術後症候群」といいます。直腸がんの手術療法には様々な術式がありますが、「低位前方切除術」や「括約筋間直腸切除術」は切除後、残存する結腸と肛門を縫い合わせる、つまり肛門を残す(排泄経路の変更がない)ものです。
この術式では永久的人工肛門を回避することはできますが、実は、患者さんは術後、長期間にわたって複雑でやっかいな排便障害を体験することになります。

青空とクローバー

LARSの代表的な症状は「不意に生じる便意(便意逼迫)」、「便の漏れ(便失禁)」です。ただ、これらは日中、いつ・どこであろうが、何の前触れもなく突然起こる、予測不可能な症状なのです。ですから、LARSの患者さんは四六時中、排便のことを気にしながら生活することを余儀なくされます。当然のことながら、会社や学校など社会生活は極めて困難になります。一般の下痢とは原因も症状も全く異なるので、経験も知識もない他者にはなかなか理解してもらえません。家族や周囲の人にさえうまく伝えられず、一人で悩み苦しんでいる人たちがいます。
こうした人たちが少しでも症状が楽になり希望を持って生活できるように支援するためには、どのようなケアが有効なのでしょうか。私たち研究グループの目的はそのケア方法を模索し、確立することです。そのために、看護学研究者、看護実践者、そして医師からなる最強のメンバーでチームを組織し、2021年4月から、一丸となって研究に取り組んでいます。

研究中の様子

このホームページはLARSを患っている人とその家族、またLARSの治療とケアに関わる医療専門職を対象として開設しました。このページが、LARSという症状を適切に理解するための当事者や関係者間のコミュニケーションの場となることを希望します。もちろん、LARSに関心を寄せる一般の方の参加こそ、大いに歓迎するところです。このHPが多種多様な多くの人々に活用され、わが国におけるLARSリテラシーを構築する原動力になることを期待します。

このサイトは、JSPS科研費JP21H03244を受けて2022年3月に開設しました。
基盤研究(B)21H03244H 「対処困難な肛門温存術後の排便障害を抱える患者への看護ケアガイドラインの開発」

散歩をする男女

©2022 直腸がん術後の排便障害 With LARS

私たちの研究成果

LARSについて、看護学研究者・看護実践者・医師からなるメンバーで研究しております。
LARSを患っている人とその家族、治療とケアに関わる医療専門職を対象に症状への理解を深めていくことを目的としています。

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